​​​​​​北斎のクロッキー

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​本ブログの今月前半のお題は「趣味」。

趣味の王道ではありますが絵画鑑賞をときどき楽しんでまして、先日のすみだ北斎美術館にお邪魔したときの話です。常設展示に「北斎漫画」が展示されてまして初めて実物を拝見しました。

北斎漫画とは人、動物、植物、文化風俗、風景など様々な世の中の要素を描いた北斎のスケッチ集でして、その中に西洋絵画で言うところのクロッキーがありました。私がクロッキーをする理由は骨格や筋肉を意識してモノの本質を捉える練習でして、デッサン力をつけるという言い方をしたりします。

北斎の人物スケッチ(下の写真)を見ると骨格、筋肉の描写が正確なので高いレベルのデッサン力があることが分かります。

ところが、別のクロッキー(下の写真)では具体的なモチーフを一旦単純な図形に置き換えてグラフィカルな2次元に解釈することを説明しているように見えます。このようなアプローチのクロッキーは見たことがなかったので驚きました。

北斎が西洋絵画的なデッサン力を習得しているにも関わらず、なぜ敢えて本質を無視した平面的な捉え方をする手法をとるのでしょうか。その理由は分かりません。

明治以前、西洋絵画が入ってくる前の日本の絵画は建物の遠近やパースが整合していない平面的なのが特徴と言われます。つまりデッサン力が低い絵という意味です。

今回、北斎のクロッキーを見ての推測ですが、当時の絵師達は実は西洋的なデッサン力がなかったのではなく、敢えて本質を消して平面的な表現をしてしたのではないかと。浮世絵でみられる独特な平面構成的表現を選んだ理由は何なのか。

これはロマンですね。今後調べたいと思います。常設展の最後に超リアルな蝋人形が突然現れますのご注意。以上趣味の話でした。

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