時々お芝居を観に劇場へ足を運びます。幕が上がる前に(実際に幕があったら描けないけど)必ず舞台装置をスケッチすることにしています。
今回は竹中直人さんと生瀬勝久さんの最強コンビが主演ということでチケットを迷わず即買い。このお二人が主演だし、題名が「火星の二人」なのでハチャメチャな喜劇かと思いきや重い人間模様を表現した内容でじっくり観る雰囲気でした。
詳しい内容は割愛しますが、そんな人間模様の表現する舞台装置が一軒屋になっていました。
スキップフロア状にリビング、ダイニング、書斎をメインに、玄関、階段なども含め客席から全てを観ることができる設計。お芝居の流れのなかで役者が巧みに空間を移動しながら物語が進んでいきます。場面転換があまりなく、空間の移動がその役割になっていて物語がとぎれることなく進む印象でした。
場面転換では外壁というかファサードがサッと降りてきて一瞬にして庭空間ができて庭先での会話場面になったりします。その外壁には窓があって、照明の演出によって夕方の庭から窓越しに一家団欒が覗き見しているような雰囲気になったりします。ひとつひとつの場面が舞台装置と照明演出によって一気に観るものをその空間に引き込んでいるよう感覚でした。
物語を演出することを目的にした装置は同じ一軒屋でも当然ながら普段私が設計している設計手法とは全く別の観点から設計されていて、舞台装置のデザインは楽しいだろうななんて味わったことのない経験に想いをはせながら考えながら見てました。