ハジメマシテ。
あいらぼに参加させていただいている市川と申します。建築設計を生業とし、清瀬機駅前に暖簾を下げております。お近く通られ際にはお茶飲みにいらっしゃって下さい。
今後ともよろしくお願いします。
さて、今回は自己紹介がてら私の好きな建築を紹介したいと思います。
豊橋にある川合健二さんの自邸です(写真:市川撮影)。設計はご本人ですが建築設計がご専門ではなく科学者です。設備設計者として丹下健三さん設計の建物の設備設計をされた方でもあります。詳しくは「川合健二マニュアル」というこの建築などを紹介した本が出てますのでご覧下さい。その方が設計された自邸がスゴイんです。
15年前に伺いました。
その建物の外皮は、コルゲートパイプという下水管で使うような折り曲げ鉄板でできた大口径のパイプでできていて、パイプの小口にはハニカム構造の鉄板の壁で塞ぎ、基礎は無く、砂利を盛って家が転がらないようにしてあります。
内部はというと、壁仕上げはしておらず、水平の床は貼ってありますが、間取りはどうなっているかよく分かりません。各部屋には大量の学術書がうず高く積まれ、空調などの配管が複雑に配され、ボイラーやよくわからい機械が乱雑に置かれています。すでに健二さんは亡くなっていますが奥様がご健在で、「これでもだいぶ片付けたのよ」とおっしゃってました。伺った時は梅雨まえの気持ちのいい季節だったのですが室内は蒸し暑く、快適な空間とは言い難い環境でした。
川合健二さんにとって住宅とはボイラーと変わらず「装置」でしかなく、彼独特の「科学者目線」の経済性が優先されています。例えば外皮に使ったコルゲートパイプなどの鉄部の量は、同じ規模の鉄筋コンクリート造で使う鉄筋と同じ量になるそうで、コンクリート分が無駄との理論です。また、建物の総重量は大型ヘリコプターで運べる量に抑えているそうです。私には意味不明です。
建築の概念を根本から覆し、科学的、数学的な目線でできた住宅という名の装置・・・。
私自身とても好きな建築ではありますが、自分が住みたいと思わないし、提供しようとも思いません。ただ、建築や住宅を考えるときに一般的に考える快適性とは全く対局にある建築を知ることができたことはとても意味があったと思うのです。
あれから15年、あの住宅はどうなっているのでしょう。
長文失礼。
こんな私ですが今後ともよろしくお願いします。
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